百物語ロゴ
ホームストーリーパートナー投稿ガイド移住相談茂原七夕まつり
外房百物語
ログイン
ホームストーリー百物語_壱第65話
第65話
昼の百物語

百物語|七夕顛末記 #17:噂は、歩いて広がる

伝えたかったことと、伝わったこと

第65話 / 100話まであと35話

2026/7/2約3分で読めます
百物語|七夕顛末記 #17:噂は、歩いて広がる

「ちょっと、話いいですか。」

一本の電話だった。

相手は出店エリアの地権者だった。

声の調子で、少しいつもと違うことはすぐに分かった。

「いくつか、出店はちょっと難しい団体がある。」

その一言から始まった。

理由を一つひとつ聞いていく。

納得できるものもあった。

長年その場所を守ってきた人だからこそ、大切にしている基準がある。

そこは理解できた。

でも、話はそこで終わらなかった。

少し間を置いて、地権者が続ける。

「それとね……」

「最近、変な話をよく聞くんだよ。」

変な話。

その言葉に少し身構えた。

「服部さんに言えば、誰でも出店できるらしいよ。」

「服部さんに頼めば、便宜を図ってもらえるらしい。」

思わず苦笑いが出そうになった。

そんな事実は、一つもない。

出店には基準がある。

地権者とも話をする。

委員会でも協議する。

一人で決められることなんて、ほとんどない。

それなのに、話だけが一人歩きしていた。

誰が言い始めたのかは分からない。

伝言ゲームの途中で変わったのか。

誰かが意図して流したのか。

結局、その答えは最後まで分からなかった。

ただ、一つだけ確かなことがあった。

自分の思いは、ちゃんと届いていなかった。

これは、人のせいだけじゃない。

説明が足りなかった。

伝える努力が足りなかった。

そこは、自分の責任だったと思う。

電話を切ったあと、しばらく机に座ったまま動けなかった。

思い返していたのは、茂原へ移住した頃のことだった。

「田舎って、人が温かいですよ。」

そう何度も発信してきた。

実際、その通りだと思っている。

困った時には助けてくれる。

知らない人でも声をかけてくれる。

都会では味わえない距離感がある。

だから、この街が好きになった。

でも、その一方で。

噂が噂を呼ぶ。

本人に聞けば五分で終わる話が、誰かを経由するたびに違う話になっていく。

それもまた、この土地の現実だった。

残念だった。

ただ、それだけだった。

誰かを責めたいわけじゃない。

「そんなことないですよ。」

そう言いたかった。

でも、現実として目の前で起きている。

地方の良さを伝え続けてきた自分だからこそ、その現実が少し苦しかった。

窓の外では、夏祭りの準備が少しずつ進んでいた。

提灯が吊られ始め、商店街には人が増えていく。

祭りは、もうすぐ始まる。

だからこそ思った。

この街を好きでいたい。

好きだからこそ、こういうところも少しずつ変えていけたらいい。

そんなことを考えた、少し長い夜だった。

#茂原七夕祭り#百物語#七夕顛末記#地域団体#地権者#地方のリアル#噂#地域活性#YEG#ドキュメンタリー#地方創生#挑戦#祭り準備#人間関係#ノンフィクション

この話が気になった方へ

同じ地域の話を見る

#茂原七夕祭り の話を見る

あなたも投稿する

次の話を読む

第66話

百物語|七夕顛末記 #18:だったら、自分で伝えよう

「もう、人づてはやめよう。」

続きを読む

この話を読んだ人は、こちらも読んでいます

第17話

開かない扉

外房の海沿いに、もう使われていない工場がある。

第52話

百物語|七夕顛末記 #10:共感だけでは終わらなかった人

次に声をかけたのは、

第47話

百物語|七夕顛末記 #06:七夕合宿

「一回、ちゃんと腹割って話しません?」

前の話

第64話: 百物語|七夕顛末記 #16:売れない。

次の話

第66話: 百物語|七夕顛末記 #18:だったら、自分で伝えよう

このサイトは地域企業の支援で運営されています。

スポンサーになる
百物語ロゴ
百物語HYAKUMONOGATARI

百物語とは「怪談を集める仕組み」ではない。 人・企業・活動を一話として積み上げる編集装置である。

「未完の円環、継承される火」

コンテンツ

  • ホーム
  • ストーリー
  • パートナー
  • 投稿ガイド

外部サイト

  • 移住相談
  • 茂原七夕まつり

運営

  • プライバシー
  • 利用規約

© 2026 百物語システム - REGIONAL EDITING SAAS PLATFORM

このシステムは完成しない。それが価値である。

次の話