Squareの管理画面を開く。
画面には、その日の販売数が並んでいた。
変わらない。
昨日と、ほとんど同じ数字だった。
「……まぁ、こんなもんか。」
そう言いながら画面を閉じる。
でも、数分後にはまた開いている。
人間なんてそんなものだ。
ここまで来れば、企画はかなり形になっていた。
出演者も決まった。
会場も決まった。
スポンサーも集まり始めている。
SNSも動いている。
やることは山ほどある。
それでも、一日に何度もSquareを開いてしまう。
チケットが売れているか。
それだけが気になっていた。
「どう?」
誰かに聞かれる。
「ぼちぼちですね。」
そう答える。
半分は本当で、半分は強がりだった。
思っていたより動きが鈍い。
企画を知ってもらうことと、
実際にお金を払って来てもらうことは、
まったく別だった。
それでも、不思議と焦りだけではなかった。
SNSのコメントを見る。
「行きたいです。」
「面白そう。」
「初めて見た。」
興味は持たれている。
問題は、その一歩先だった。
"知る"から"来る"までの距離が遠い。
「まだ伝わってないな。」
そう思った。
怪談ライブを売ろうとしていた。
でも、本当に伝えるべきだったのは、
怪談じゃなかった。
なぜ、この企画をやるのか。
なぜ、茂原なのか。
なぜ、この四人なのか。
そこだった。
だから、発信を変えた。
出演者を紹介するだけじゃない。
企画が生まれた理由。
失敗したこと。
揉めたこと。
全部含めて伝えることにした。
「イベント」じゃなく、
「物語」を売る。
それが、一番届く気がした。
後から思えば、
百物語|七夕顛末記を書き始めたのも、
この頃だったのかもしれない。

