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百物語|七夕顛末記 #18:だったら、自分で伝えよう

噂は止められない。でも、伝えることはできる。

第66話 / 100話まであと34話

2026/7/2約2分で読めます
百物語|七夕顛末記 #18:だったら、自分で伝えよう

「もう、人づてはやめよう。」

事務所で一人、そう口にした。

誰かに聞かせるためじゃない。

自分に言い聞かせるような独り言だった。

ここ数日、いろんな話が耳に入ってきていた。

「ああ言ってたらしい。」

「こういう話を聞いた。」

気付けば、誰かの話には必ず"誰かから聞いた"が付いている。

どこで変わったのかは分からない。

最初から違ったのか。

途中で変わったのか。

もう考えても答えは出ない。

だったら、やることは一つだった。

人づてをやめる。

自分で伝える。

それだけだった。

その夜、パソコンを開く。

Instagram。

ホームページ。

百物語。

開いているブラウザの数だけ、伝える場所が増えていた。

「何をやるか」じゃない。

「なぜやるのか。」

そこから書こうと思った。

一般公募と言った理由。

地域団体にこだわった理由。

怪談ライブをやる理由。

百物語を作った理由。

結果だけを見れば、一行で終わる。

でも、そこに至るまでには、ちゃんと理由がある。

だったら、それも残そう。

成功だけじゃなく。

失敗も。

反対されたことも。

迷ったことも。

全部。

そうすれば、少なくとも誰かが勝手に作った物語じゃなくなる。

本当の顛末になる。

キーボードに手を置く。

何から書こうか。

少しだけ考えて、一行目を打った。

「まだ委員会は発足していなかった。」

その一文が、この『七夕顛末記』の始まりになった。

書き終えた頃には、時計は日付を跨いでいた。

投稿ボタンを押す。

スマホを机に置いて、深く息を吐く。

どれだけ読まれるかは分からない。

誤解が全部なくなるとも思っていない。

それでも、一つだけ確かなことがあった。

もう、人づてじゃない。

この言葉だけは、自分の言葉だった。

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