「地域活性って、どうやったら成功すると思いますか?」
講演で聞かれたら、昔の自分は迷わず答えていた。
コミュニティを作ること。
情報発信。
交流人口。
関係人口。
成功事例。
本も読んだ。
事例も調べた。
理論も知っている。
でも。
現場は、その通りには動かなかった。
会議では賛成してくれた人が、別の場所では違う話を聞いている。
本人に五分聞けば終わる話が、何人も経由すると別の話になる。
思いは、説明しただけでは伝わらない。
逆に、一言の「俺は乗る」で空気が変わることもある。
人は理屈だけでは動かない。
感情だけでも動かない。
信頼だけでも足りない。
全部が少しずつ絡み合って動いている。
こればかりは、本では学べなかった。
地域活性って、人を集めることじゃない。
イベントを作ることでもない。
もっと泥くさい。
もっと人間くさい。
だから面白い。
茂原商工会議所青年部は、入会一年目だった自分を七夕委員長に据えた。
理由は一つじゃないだろう。
経験者が足りなかったのかもしれない。
偶然だったのかもしれない。
でも、一つだけ思うことがある。
少なくとも、この組織には
「新しいことを、新しい人間に任せてみよう」
という意思があった。
それは、地方では決して当たり前じゃない。
だから期待した。
この街なら、検証できるかもしれない。
机上の空論だった地域活性を。
本当に動く地域活性へ変えられるかもしれない。
だから、この祭りはゴールじゃない。
実験だ。
成功も失敗も、全部データになる。
思い通りにいかなかったことほど価値がある。
次にもっと良いモデルを作れるから。
祭りが終わったあとに残したいのは、思い出だけじゃない。
「地域は、こう動く。」
その答えを、一つでも多く持ち帰ることだった。

