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第47話
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百物語|七夕顛末記 #06:七夕合宿

古民家の夜に、祭りの形が見え始めた

第47話 / 100話まであと53話

2026/5/7約4分で読めます
百物語|七夕顛末記 #06:七夕合宿

「一回、ちゃんと腹割って話しません?」

合宿の話を出したのは、そんな流れだった。

ここまで色んな話が動いていた。

出店。

一般公募。

怪談ライブ。

会議もしている。

個別でも話している。

でも、どうしても“点”のままだった。

話す時間が足りない。

もっと正確に言えば、

“祭りの話だけをする時間”が足りなかった。

だから、合宿をやることにした。

場所は、メンバーが所有している古民家。

正直、どれくらい人が来るかは分からなかった。

「まぁ数人でも話せればいいか」

最初は、そのくらいの感覚だった。

でも、当日になると、思ったより人が集まった。

車が一台ずつ入ってくる。

「お疲れ様ですー」

そんな声が飛び交う。

古民家の庭では、すでに炭の準備が始まっていた。

肉を運ぶ人。

酒を並べる人。

タープを張る人。

その横では、すでに祭りの話が始まっている。

「怪談ライブ、マジでやるんすね」

「いや、出店側どうなるんです?」

「一般公募、まだちょっと怖いっす」

笑いながら話しているのに、内容はかなり真面目だった。

ただ、不思議と空気は重くない。

会議室で話すのとは、全然違った。

途中から、もう何の話をしているのか分からなくなる。

七夕の話をしていたと思ったら、

「来年度こういうことやりたいんですよね」

別の話題が始まる。

また別の場所では、

「YEGってもっとこうした方がよくないです?」

そんな話で盛り上がっている。

祭りだけじゃない。

みんな、それぞれ色んなことを考えている。

その話が、酒を飲みながら自然に混ざっていく。

それが妙に良かった。

夜が深くなるにつれて、人の距離も変わっていった。

最初は探り探りだった人たちが、少しずつ本音を出し始める。

「正直、最初かなり不安でした」

「いや、俺もっすよ」

そんな会話が普通に出る。

炭火の前。

紙皿と空き缶だらけのテーブル。

遠くでは誰かが笑っている。

その空気の中で、ずっと考えていたことがあった。

——出店、誰に任せるか。

ここまで一番反応していた人がいた。

「それ本当に大丈夫なんですか?」

「既存の人たち納得します?」

出店の話になるたび、必ず止まる。

でも途中から分かってきた。

反対しているというより、“思いが強い”。

祭りを雑に扱われたくない。

出店を軽く見られたくない。

だからこそ、止まる。

しかも、その人はYEGの大先輩だった。

現場も知っている。

人も知っている。

祭りの空気も知っている。

だったら、もう逆に任せた方がいい。

その方が、この施策は強くなる。

「正直、怪談ライブ側で手いっぱいなんですよね」

紙コップを持ったまま、そう切り出した。

「出店側の取り仕切り、お願いできませんか?」

少し間が空く。

でも、思ったよりずっと自然だった。

「わかった。いいよ」

返事は一瞬だった。

周りから「え、マジですか?」みたいな声が上がる。

でも、その瞬間に空気が変わった。

あぁ、多分ここでチームになったんだと思う。

賛成してる人を責任者にするのは簡単だ。

でも今回は、一番真剣に怖がっていた人を前に出した。

だから、多分強い。

合宿が終わる頃には、空が少し白くなっていた。

眠そうな顔で片付けをしながら、誰かが言う。

「これ、毎月やりたくないです?」

周りが笑う。

「いや、でも分かるな」

その空気を見ながら、少し思った。

会議室では作れなかったものが、ここにはあった。

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