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ホームストーリー百物語_壱第76話
第76話
夜の百物語

「家に着きました」が、二度届く

第76話 / 100話まであと24話

2026/8/10約3分で読めます

「家に着きました」が、二度届く

「昨日、なんで二回送ったの?」

朝、母からそう返事が来ていた。

何のことかわからず履歴を見ると、確かに私から同じメッセージが二つ送られていた。

「家に着きました」

一人暮らしを始めてから、帰宅したら母に連絡する。それが我が家の決まりになっていた。

その日、私が送ったのは23時48分。

そして、もう一つ。

0時17分。

まったく同じ文章だった。

寝ぼけて送ったのだろうと思った。

けれど、翌日も同じことが起きた。

23時過ぎ、帰宅して母に連絡する。

「家に着きました」

シャワーを浴びて、動画を見ながらベッドに入る。

翌朝、履歴を見ると、

0時17分。

「家に着きました」

また送られていた。

気味が悪くなって、その日は0時になる前にスマホの電源を切った。

これなら送れるはずがない。

翌朝。

恐る恐る電源を入れる。

メッセージは送られていなかった。

安心していると、母から電話が来た。

「昨日、帰ってこなかったの?」

「帰ったよ」

「でも連絡なかったから」

そこで気づいた。

昨夜、私は母に連絡していなかった。

電源を切ることばかり考えて、いつもの「家に着きました」を送るのを忘れていたのだ。

つまり。

0時17分のメッセージも来ていない。

その夜から、妙なことは起こらなくなった。

たまたまだったのだろう。

そう思うことにした。

それから数日後、母の家に泊まった。

夕食のあと、母がスマホを置いたまま風呂へ行った。

そのとき、画面が光った。

通知が一件。

送信者は、私。

「家に着きました」

時刻は0時17分。

もちろん、私は母の目の前にいる。

慌てて自分のスマホを確認した。

送信履歴には何もない。

母が風呂から戻ってくる前に、もう一度画面を見る。

メッセージは消えていた。

見間違いだったのかもしれない。

私は今でも、帰宅すると母に連絡している。

ただ、一つだけ変えたことがある。

もう、

「家に着きました」

とは送らない。

あの言葉を送っていた頃、0時17分にいったい誰が「家」に着いていたのか。

それを確かめる方法を、私はまだ知らない。

※本作は創作です。

#百物語#怪談#創作怪談#怖い話#日常怪談

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