告知も出した。
出演者も決まった。
動きとしては、前に進んでいる。
外から見れば、
順調に進んでいるように見える状態だった。
でも、内側は違った。
温度が揃っていない。
「これはいける」と思っている人もいれば、
「本当に大丈夫なのか」と感じている人もいる。
どちらも間違っていない。
むしろ、どちらも自然な反応だった。
ここまでの流れをすべて見ている人と、
一部だけを見ている人では、前提が違う。
関わっている深さによって、
見えている景色が変わる。
そのズレが、そのまま温度差になる。
ある人にとっては、
ここまで積み上げてきた結果として「いける」と思える。
別の人にとっては、
まだ不確定な要素が多くて「怖い」と感じる。
どちらの感覚も正しい。
だからこそ難しい。
どちらかを否定すると、歪む。
でも、そのままにすると揃わない。
この状態で本番に入るとどうなるか。
動きに差が出る。
判断にブレが出る。
最悪の場合、現場でズレが顕在化する。
それだけは避けたかった。
だからやったのは、シンプルなことだ。
——とにかく、話す
またここに戻る。
全体で話すのではなく、
個別で話す。
今どう見えているか。
何が不安か。
どこが引っかかっているか。
一つひとつ聞く。
そして、こちらの前提も伝える。
ここまでの流れ。
なぜこの形になっているのか。
どこまで決まっていて、どこが未確定なのか。
情報のズレを埋める。
それだけで、少しずつ変わる。
「なんとなく不安」が、
「ここが不安」に変わる。
そうなると、対処できる。
逆に言えば、
曖昧な不安のままだと何もできない。
ここは、かなり時間を使った。
効率は悪い。
でも、この工程を飛ばすと、後で必ず崩れる。
この規模のプロジェクトは、
“正しいことをやる”だけでは回らない。
“同じ前提で動く状態をつくる”ことが必要になる。
最終的に、完全に揃ったわけではない。
それでも、方向は揃った。
この状態であれば、現場で崩れない。
そう判断できるラインまで持っていった。
ここでようやく、
本番に向かえる状態になる。
外側の準備は整っている。
内側も、なんとか揃えた。
あとは、どうなるか。
それは、現場でしか分からない。
