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ホームストーリー百物語_壱第55話
第55話
昼の百物語

百物語|七夕顛末記 #13:同じ景色を見ていなかった

「いける」と「本当に大丈夫か」が同時に存在していた

第55話 / 100話まであと45話

2026/7/2約3分で読めます

告知も出した。

出演者も決まった。

動きとしては、前に進んでいる。

外から見れば、

順調に進んでいるように見える状態だった。

でも、内側は違った。

温度が揃っていない。

「これはいける」と思っている人もいれば、

「本当に大丈夫なのか」と感じている人もいる。

どちらも間違っていない。

むしろ、どちらも自然な反応だった。

ここまでの流れをすべて見ている人と、

一部だけを見ている人では、前提が違う。

関わっている深さによって、

見えている景色が変わる。

そのズレが、そのまま温度差になる。

ある人にとっては、

ここまで積み上げてきた結果として「いける」と思える。

別の人にとっては、

まだ不確定な要素が多くて「怖い」と感じる。

どちらの感覚も正しい。

だからこそ難しい。

どちらかを否定すると、歪む。

でも、そのままにすると揃わない。

この状態で本番に入るとどうなるか。

動きに差が出る。

判断にブレが出る。

最悪の場合、現場でズレが顕在化する。

それだけは避けたかった。

だからやったのは、シンプルなことだ。

——とにかく、話す

またここに戻る。

全体で話すのではなく、

個別で話す。

今どう見えているか。

何が不安か。

どこが引っかかっているか。

一つひとつ聞く。

そして、こちらの前提も伝える。

ここまでの流れ。

なぜこの形になっているのか。

どこまで決まっていて、どこが未確定なのか。

情報のズレを埋める。

それだけで、少しずつ変わる。

「なんとなく不安」が、

「ここが不安」に変わる。

そうなると、対処できる。

逆に言えば、

曖昧な不安のままだと何もできない。

ここは、かなり時間を使った。

効率は悪い。

でも、この工程を飛ばすと、後で必ず崩れる。

この規模のプロジェクトは、

“正しいことをやる”だけでは回らない。

“同じ前提で動く状態をつくる”ことが必要になる。

最終的に、完全に揃ったわけではない。

それでも、方向は揃った。

この状態であれば、現場で崩れない。

そう判断できるラインまで持っていった。

ここでようやく、

本番に向かえる状態になる。

外側の準備は整っている。

内側も、なんとか揃えた。

あとは、どうなるか。

それは、現場でしか分からない。

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