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第50話
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百物語|七夕顛末記 #8:ぁみというカード

“集客”という現実から逃げなかった話

第50話 / 100話まであと50話

2026/5/12約4分で読めます
百物語|七夕顛末記 #8:ぁみというカード

「いや、それ誰が見に来るんです?」

その言葉に、少しだけ空気が止まった。

夜だった。

商工会議所を出たあと、数人でそのまま居酒屋に流れていた。

テーブルの上には串の皿と、溶けかけた氷。

誰かがタブレットで出演候補を調べている。

怪談ライブの話になると、最近は自然とみんな前のめりになるようになっていた。

「牛抱さん来たらかなり強いですよね」

「いや、でもそれだけじゃ弱くないですか?」

「もっとデカい名前欲しくない?」

酒が入っている分、本音がそのまま出る。

その中で、一人がぽつりと言った。

「いや、それ誰が見に来るんです?」

その瞬間、妙に静かになった。

誰も否定できなかった。

企画として面白い。

空気もある。

物語もある。

でも、“人が来るか”は別の話だった。

祭りのイベントって、そこから逃げられない。

どれだけ思想があっても、結局、人が集まらなければ成立しない。

出店も回らない。

スポンサーもつかない。

全部、そこに繋がっている。

「……ぁみさん、どうです?」

誰かがスマホを見ながら言った。

その名前が出た瞬間、数人が顔を上げる。

「あぁ……」

反応が変わった。

その空気だけで分かる。

みんな、“意味”を理解していた。

正直に言えば、この人に関してはかなり明確だった。

——集客。

そこは綺麗に言い換えるつもりもなかった。

むしろ、その役割が必要だった。

発信力がある。

人を呼べる。

その事実が大きい。

怪談ライブを“企画”で終わらせず、“イベント”として成立させるには、その力が必要だった。

でも不思議だった。

ただ数字が欲しかったわけじゃない。

もしそれだけなら、もっと別の選択肢もあったと思う。

ただ、ぁみさんの名前が出た時だけ、妙に景色が浮かんだ。

人が集まっている景色。

ざわつく夜。

「あれ何やってるんだ?」

って、足を止める人たち。

その空気が自然に見えた。

「でも、来てくれますかね」

誰かが言う。

「いや、分かんないっす」

そう返しながら、頭の中ではもう考え始めていた。

どう話すか。

どう企画を見せるか。

何を面白がってもらうか。

窓の外では、雨が降り始めていた。

ガラスに水滴が流れていく。

店の奥では別のグループが笑っている。

その雑音を聞きながら、ぼんやり思っていた。

多分ここから先、“怪談好きが集まるイベント”じゃ足りない。

もっと大きく、祭りの空気そのものを変えないといけない。

そのためには、人を呼べる存在が必要だった。

だから、このカードは絶対に必要だった。

後日、本当に話が進き始めた時、周りの空気は明らかに変わった。

「あ、これマジでやるやつだ」

誰かがそう呟いていた。

その感覚は、自分も少し同じだった。

企画が、少しずつ現実になり始めていた。

#茂原七夕祭り#百物語#七夕顛末記#ぁみ#怪談ライブ#集客#地方イベント#YEG#ドキュメンタリー#物語#地域活性#怪談#祭り#ライブイベント#地方創生

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