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第12話
夜の百物語

水面の顔

第12話 / 100話まであと88話

2026/4/16約1分で読めます

外房の川にかかる橋は、夜になると妙に静かだ。

車の音も届かず、水の流れる音だけがやけに大きく聞こえる。あの日、何となく立ち止まり、橋の下を覗き込んだ。

水面に顔が映る。

当然、自分の顔だと思った。

だが、違った。

見覚えのない顔が、こちらを見ている。

一瞬、理解が追いつかない。

もう一度、よく見る。

やはり自分ではない。

その顔が、ゆっくりと笑った。

反射的に顔を上げる。橋の上には自分しかいない。

再び水面を見る。

今度は自分の顔が映っている。

だが、その口元は——まだ笑っていた。

それ以来、鏡を見るとき、わずかにタイミングがズレている気がする。

自分より、少しだけ先に。

#外房,橋,水面,顔,違和感,恐怖

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