千葉の外房、九十九里の端っこあたりの話です。
ある曇天の日、友人と誰もいないサーフポイントを歩いていると、砂浜に**「お供え物」**のような皿がポツンと置いてありました。中には干からびた魚と、真っ黒に汚れた古い指輪。
気味悪くなって離れようとした時、背後の海から**「ザリザリ…」**と濡れた砂を引きずる音が聞こえました。振り返ると、波打ち際に真っ黒な海藻の塊のような何かが這い上がってきています。
「おい、見ろ」と友人の肩を叩こうとしたら、隣にいたはずの友人の足元が、膝下まで砂の中に沈み込んでいました。 蟻地獄のような穴なんてないはずなのに、彼は無表情で「ああ、迎えが来た」と呟いたんです。
あれ以来、彼は潮の匂いを極端に怖がるようになりました。
