ある日、夜道を歩いていたとき、何かが違うことに気づいた。街灯の下を通り過ぎるとき、私の影がなかったのだ。最初は見間違いかと思ったが、振り返って何度も確認したが、やはり影は消えている。慌てて家に帰り、翌朝もう一度鏡を見ても影は現れなかった。ここからが奇妙な日々の始まりだった。
影が消えてしまった原因を探ろうとインターネットで調べたり、友人に相談しても手がかりはなかった。ある日、町外れにある古びた書店で不思議な古書を見つけた。その本には影を奪うという儀式について書かれてあり、私はなぜかそれが自分に関係しているような気がした。
その晩、書かれていた儀式を試すことにした。部屋を真っ暗にし、ろうそくを灯して呪文を唱えた。突然、部屋が冷え込み、背後から囁くような声が聞こえた。振り返ると、そこには私の影が立っていた。だが、その影はまるで自分自身ではないかのように微笑む。そして、影の奥から誘うように手を伸ばしてきた。
怖くなって儀式をやめ、部屋から逃げ出した。次の日、再び鏡を見ると、影は元通りに戻っていた。しかし、その日以来、ふとした瞬間に自分の影がにやりと笑うのを感じることがある。影が戻ってきたことは良かったのか、それとも恐ろしいものを目覚めさせてしまったのか。
※本作は創作怪談です。
