外房線沿いの踏切は、夜になると人通りがほとんどなくなる。
あの日、車で通りかかったとき、踏切の警報機が鳴っていた。
だが、電車は来ない。
遮断機は下りたまま、音だけが鳴り続けている。
しばらく待つが、状況は変わらない。
不審に思い、外に出た。
踏切の向こう側に、人影が立っている。
動かない。
ただこちらを見ている。
電車は来ないのに、その人影だけがそこにいる。
次の瞬間、警報が止まった。
遮断機が上がる。
人影は——消えていた。
あの踏切を通るとき、今でも無意識に減速してしまう。
また鳴り出したら、今度は渡っていいのか分からなくなる。
