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ホームストーリー百物語_壱第15話
第15話
夜の百物語

トンネルの中の影

第15話 / 100話まであと85話

2026/4/16約2分で読めます

外房線に乗る人なら、一度は感じたことがあるかもしれない。

夜の電車というのは、昼間とはまるで別の乗り物になる。特に、乗客が少ない時間帯になると、車内は妙に静かで、自分の存在だけが浮いているような感覚になる。

あの日もそうだった。

仕事帰り、ほとんど人のいない車両に乗り込んだ。窓際の席に座り、ぼんやりと外を眺める。やがて電車はトンネルに入った。

窓に、自分の顔が映る。

その後ろに——もう一人、いた。

反射的に振り返る。だが、座席は空いている。周囲にも人影はない。

気のせいか。

そう思って、再び前を向く。

次のトンネル。

今度ははっきり見えた。自分の肩越しに、誰かがこちらを覗き込んでいる。顔の輪郭はぼやけているが、確実に“視線”がある。

急に背筋が冷たくなる。

トンネルを抜ける。

普通なら、そこで窓の映り込みは消えるはずだ。

だが、その影は消えなかった。

昼間の景色の中に、はっきりと残り続けていた。

それどころか、少しずつ距離を詰めてくる。まるで、ガラス一枚を隔ててこちらに近づいてくるように。

耐えきれず、席を立った。

その瞬間、窓に映っていた影が——

自分のいた席に、座った。

次の駅で降りたが、それ以来、夜の外房線では窓を見ないようにしている。

#外房線#電車#トンネル#影#車内#夜

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